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暗闇の淵に女な鎮座していた
女が吐息を漏らすと、光りの空間が芽生えた
その光を、女はそっと掌にのせる
光はジワジワと明るさを増し、やがて魂となった
「イキタイのであれば、そうすれば良い」
「無に還(かえ)りたければ、そうすれば良い」
するとその光は、次第に色あせていった
『無』になる事を選択したようだ
『生を何故望まないのか?』
人界の声が降り注ぐ
そんな中、女は笑みを浮かべて掌の上の『何も無い』モノを握り締めた
魂が完全に無となり、そこには暗闇が生まれた
女は満足そうに天を仰いだ
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