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鷹が小鳥を射った

その様子を女はジッと見ていた

鷹の嘴(くちばし)に挟まれている小鳥は、淡い青をまとっていた

いつの世の人が言っただろうか

青い鳥は幸せを運ぶ――と

女が天へ手を掲げると、鷹が空(くう)を一回りして女の手にとまった

そして、鷹を女が捧げると、小鳥を女の掌(てのひら)に残して、また空(くう)へ舞い上がって行った

女の掌にある小鳥は、羽を微かに動かし、天へ登ろうとしている

「次の世代をやろう」

女が小鳥に息を吹きかけると

小鳥の羽の色が少しずつ濃くなり、やがて漆黒へと変貌を遂げた

そして小鳥は羽ばたき、そのまま天の奥へと舞い上がり姿を消した

女の手には一枚の小鳥の羽が残された。

その羽を女は胸に当てる

すると、その漆黒の羽は女の中に取り込まれ、漆黒の翼が背に現れた

大きなその翼を持った女は、小鳥の後を追うように天へと姿を消した――


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