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月の様に星々が輝く夜

それを人は「星月夜」という

女は空を見上げ、溜息をついた


「この世に光は必要か?」


そう女が呟くと、空には暗雲が立ち込め

瞬く間に「光」を漆黒に染めた

その空を見て、女は思う


人は光りに輝かれる資格があるのか


人はいつの世も、輝くものを汚す

何の罪もない、温かな春の日差しでさえ、人々は汚す

文明という名のもとに


「輝きなど必要なかろう」


女は微笑みを携えて言葉を発した

その笑みは、恐ろしくも美しかった


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