<5>
月の様に星々が輝く夜
それを人は「星月夜」という
女は空を見上げ、溜息をついた
「この世に光は必要か?」
そう女が呟くと、空には暗雲が立ち込め
瞬く間に「光」を漆黒に染めた
その空を見て、女は思う
人は光りに輝かれる資格があるのか
人はいつの世も、輝くものを汚す
何の罪もない、温かな春の日差しでさえ、人々は汚す
文明という名のもとに
「輝きなど必要なかろう」
女は微笑みを携えて言葉を発した
その笑みは、恐ろしくも美しかった
▲top