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全ての闇が、今女の手の内にあった

憎悪、恐怖、心の闇

様々な負のエネルギーで満ちている

女の口元は綻(ほころ)び、狂気とも言える気をまとっていた



「負は美しい、負は優しい」



微かな声で呟く

その負の輝きを女は知っていた

負は決して忌み嫌われる存在ではなく、崇拝されるべきだと

それを他者に伝える必要はなかった

今が混沌としている世の中だから――


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