「ヴァンパイアのき」


今宵は月が笑う
俺の傍には黒い影
幾年幾千年たったのか
でもお前の血の味が俺を狂わす

果てしない時空(とき)の旅
彷徨い続けた俺の心
お前の愛するすべてを、憎らしく散らしたかった
俺を見詰めるお前の瞳が、俺を留まらせた
そんなお前にどんなに愛を叫んでも
届かない――

今、俺は溢れる想いを何処へ向けて良いのか
分からないまま――

全てを愛したお前のように
俺にも全てを愛する事ができるだろうか

初めてお前が俺の姿を見た時にように
柔らかな微笑、今
俺はできているだろうか――

お前の隣で、お前の傍で、月夜を迎えたい
この狂った俺を連れて行ってくれ
お前が愛おしい――

温もりなんていらない
ただお前の影を追い求めたい
そして抱きしめたい
全てが始まったあの瞬間(とき)から俺はお前のモノ

ああ、お前に逢いたい
お前の心を抱きしめたい
早く俺の闇よ、訪れてくれ――


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