「さっり」


おかしいのは俺の脳か?
そう思ってはみても、自分の脳を開いて見る事はできない

ならば、他の人の脳の中を?
パクンとあけて、ジッパーで閉める

それならいけるかもしれない

俺はおかしいのか?

電柱の影から俺を見ている視線を感じる。
そして、その手には、果物ナイフが握られている

俺はおかしいのか?
水の中に飛び込んでも、プランクトンの呼吸ができる

俺はおかしいのか?
自分の名前が分からない
何をしたかったのか
仕事は何か

さっぱりだ

何が面白くて、何かつまらないかなんて問題じゃない
俺は自分の脳を開く事しか考えていない
見なければ、きっと後悔する

俺はおかしいのか?
やはり他人よりも俺の脳を見たい

脳内の血管がどれほど綺麗か、そんな事じゃない
俺の脳は、俺の行く先々で、何かをなぎ倒す

何を?
それは俺の脳しか知らない
俺は知らない

俺は知りたい

俺はおかしいのか?
おかしいのなら、手術をして欲しい
そうすれば治るから

俺のおかしな脳は、俺を操縦する
好きな場所へなんて行けない
脳の行きたい場所へ行かされる
腐りかけの魚を食べさせられる

俺はいったい何だ?

おかしいのが俺なのは分かる
だが、俺って何?

ああ、さっぱりだ


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